急性痛と慢性痛――痛みの正体を知り、正しく向き合うために

「痛み」は誰にとっても避けたいものですが、その役割や性質は実に多様で、奥深いものです。
2020年、国際疼痛学会(IASP)は、痛みに対する定義を41年ぶりに改訂しました。
そこでは、痛みが単なる身体的感覚ではなく、心理的・社会的な側面とも深く関わる「個人的な体験」であることが強調されました。
現場で患者さんと向き合う中で、私たち理学療法士・整体師が日々感じているのは、“痛みの理解不足が回復を遠ざけてしまう”という現実です。
今回は、よく混同されがちな「急性痛」と「慢性痛」について、メカニズムや対処法をわかりやすく整理し、整体・運動療法の立場からどう関わっていけるかをお話しします。
◇痛みとは何か?――身体の警報であり、脳の体験
国際疼痛学会が定義した“新しい痛みの定義”は次のようなものです。
「実際の組織損傷や、損傷が起こる可能性のある状態に関連する、またはそれに似た、不快な感覚的および情動的な体験」
この定義が示すように、痛みは単に「ケガがあるから痛い」「炎症があるから痛い」だけではありません。
たとえ画像診断で異常が見つからなくても、本人が“痛い”と感じるのであれば、それは確かに存在する痛みなのです。

この視点は、治療やリハビリの方向性を考えるうえでも非常に重要です。
急性痛とは?――体を守る“警告サイン”
●特徴
急性痛とは、ケガや手術、やけど、捻挫などにともなって起こる短期間の痛みです。
その本来の役割は、「これ以上その部分を使わないように」「無理をしないように」と身体に伝える“警報”です。
●メカニズム
組織が損傷すると、炎症反応によって「発痛物質(ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジンなど)」が放出され、痛みを伝える神経(侵害受容器)が反応します。
それが脊髄を経由し、脳の視床や大脳皮質に伝わることで、私たちは“痛い”と感じます。
●対処法(理学療法士としてのポイント)
急性痛は、原因の治癒とともに自然とおさまる傾向があります。しかし、早期の適切な対応が重要です。
- RICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)→ 捻挫や打撲においては、まず腫れと炎症の拡大を防ぐ冷却が有効です。
- 痛みの緩和と安静のバランス→ 完全な安静が長引くと、筋力低下や関節の拘縮を招くことも。早期からの“適度な可動”が重要になるケースもあります。
- DRT整体などやさしい神経アプローチ→ まどか整体院では、背骨をやさしくゆらすことで神経の興奮を落ち着かせ、痛みの鎮静化を促します。
慢性痛とは?――痛みが“記憶”になった状態
●特徴
慢性痛とは、痛みの原因が取り除かれたあとも、3か月以上にわたって続く痛みを指します。腰痛・関節痛・頭痛・神経痛などが代表的です。
●メカニズム
慢性痛の背景には、次のような要素が複雑に絡んでいます。
- 神経の過敏化 通常では痛くないような刺激でも、強く反応するようになってしまう「中枢性感作」という状態。
- 痛みの記憶 繰り返しの痛みによって、脳が“痛いという情報”を学習し、それを強化してしまう。
- 心理・社会的ストレス 不安・恐怖・孤独感・生活の不安定さなどが脳の痛み制御システムに影響を与え、痛みを増幅させます。
このように、慢性痛は“体の異常”というより、“神経の反応や脳の処理の問題”としてとらえる必要があるのです。
慢性痛への整体・運動療法のアプローチ
整体や理学療法では、慢性痛に対して次のような方法が有効です。
●①姿勢と身体バランスの見直し
慢性痛を訴える方の多くに、骨盤や背骨のバランスの乱れが見られます。
DRT整体では、背骨をやさしく調整することで神経系の働きを整え、過敏になった痛みのセンサーを落ち着かせる効果が期待できます。
●②正しい呼吸とリラックスの習慣
呼吸が浅く、交感神経が優位になっている状態では、痛みも強く感じやすくなります。
腹式呼吸や深呼吸を取り入れることで、自律神経のバランスが整い、痛みへの耐性も高まることがわかっています。
●③運動による神経・血流への刺激
慢性痛の方こそ「動かさないと悪化するのでは」と不安になりがちですが、安全な範囲での運動こそ、痛み軽減の鍵です。
- 関節可動域を広げるストレッチ
- 軽い有酸素運動(ウォーキングなど)
- 体幹の安定性を高めるコアトレーニング
これらを無理なく続けることで、痛みをコントロールする力がついてきます。
急性痛と慢性痛、対応を間違えないために
種類 | 急性痛 | 慢性痛 |
---|---|---|
持続期間 | 数日~数週間 | 3か月以上 |
原因 | 明確(ケガ・炎症など) | 明確でない場合も多い |
対応 | 炎症抑制・安静・処置 | 身体・心理の多角的アプローチ |
キーワード | 警告・保護 | 慣れ・過敏・学習 |
まどか整体院でのサポート
鹿児島市荒田のまどか整体院では、急性痛・慢性痛のどちらに対しても、理学療法士による的確な状態評価と施術プランの提案をおこなっています。
- DRT整体で神経の興奮を整える
- 日常動作の改善指導
- 呼吸法・セルフケア体操の提案
- 必要に応じて、医療機関との連携サポート
「治す」のではなく、「回復を手助けする」という考え方で、患者さまの自然な回復力を引き出す整体をおこなっています。
まとめ:痛みを理解することが、回復の第一歩
痛みは敵ではなく、身体からの“メッセージ”です。
その性質を知り、適切に向き合うことで、つらい症状を長引かせず、生活の質を保ちながら回復することができます。
もし、「よく分からない痛みが続いている」「レントゲンでは異常がないと言われたけど、痛みがある」そんな方がいらっしゃれば、どうぞ一度、まどか整体院へご相談ください。
あなたの“痛み”に、私は真摯に寄り添います。
